2008年8月9日
ブラジル 1946-7-6 〜 ジャズ/フュージョン ボサノバ ガットギター フィンガーピッキング
キャリア・作品の量・質とどれをとってもブラジル随一といえる、ベテランの作曲家・シンガー、そしてギタリスト。いろいろな意味で、Toquinho は Baden Powell の DNA を受け継いでいる。まず10代の頃から Baden のサポートを務める等でプロキャリアをスタートさせたこと。そして、Baden と黄金タッグを組んでボサノバ黄金時代を築いた作詞・作曲家の Vinicius de Moraes と、Toquinho もまた'70年代の長きにわたってコンビを組んだことである。14歳で Paulinho Nogueira に師事し、他の音楽家からもクラシックギターや音楽技法を広く学んだ Paulinho Nogueira の音楽性は柔軟でスムーズ。日本でも、'80年代には渡辺貞夫とのコラボレーションで知名度が高い。
どちらかというと歌手としての活動が主な Toquinho だが、忘れた頃にギターをガッツリ聴かせるインストメインのアルバムを届けてくれる。本作も'06年のそんな作品。「黒いオルフェ」「イパネマの娘」「マシュケナダ」等を含んだなにやらヒットパレードっぽい構成だが、タイトルどおりギターやピアノ等のアコースティック楽器をメインに据えて、これまでの長いキャリアの断面を見せてくれる、といったもの。Baden の名演が思い起こされる「Tristeza」も収録されているが、Toquinho のプレイは Baden を偲ばせながらも独自の朗らかでスムーズなオリジナリティに満ちている。脂が乗り切った時期をもはやすぎて、枯淡の境地に達したのかと思わせるような安定感である。
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