2005年9月25日
USA 1948 〜 フォーク ブルーズ スティール弦ギター 12弦ギター フィンガーピッキング
'70年代前半に John Fahey により見いだされ、異彩を放ったフィンガーピッカー。Takoma の同僚(?)である Robbie Basho や Michael Gulezian と相通じるムードを、この Peter Lang も色濃く持っているが、あのどんよりとストーンドした空気感を言葉で説明するのは一寸難しい。彼自身がキャリアを語るところによると、'60年頃から初期 Dylan や John Koerner の影響を受けたフォークシンガーとして、ミネソタ州立大付近のコーヒーハウスでサーキットしていたという。Dylan がそうであったように、おそらく Lang もフォークのルーツを辿りつつプリミティブなカントリーブルースに接近していったのだろうが、その結晶として紡ぎ出されたギター・インストゥルメンタルは、むしろロックの響きを伴って私の耳に届く。フラワーチルドレンの視線を集めながら、ドラッグの紫煙の中で果てしないインプロヴァイズに耽る Jerry Garcia あたりと、何故か姿がダブるのだな。'01年に、長い沈黙を破ってニューアルバムをリリースしたが、そこではまっとうなカントリーブルースに回帰しているようだ。やはり'70年前後は誰もがラリっていた、ということなんだろうか(実もフタもない^^)。
'73年、Takoma からのソロデビュー作。6弦ギターの快速スリーフィンガー、およびワイルドなスライドを交えた12弦ギターの全編オリジナル作によるギターインスト。最近のドンシャリ・ハイファイちっくなアコギサウンドに慣れた耳には、このアルバムの枯れたギターの音が妙に心地よい。トップナンバー「Snow Trad」はベンディングを交えたスリーフィンガーで、Michael Gulezian に与えた影響がハッキリと窺える。単純に「聴いていて楽しく、前向きになれる」類の音楽ではなく、むしろ不安や漠然とした哀しみを感じる人もいるだろう。それだからこそ歳月を越えた愛聴盤になり得る予感がする。ボーナストラックに追加された3曲も本編に劣らぬ力作で、内容の濃い一枚。お買い得ナリ。
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