2004年9月26日
アルゼンチン ボサノバ ガットギター フィンガーピッキング
ブラジルとならび広大な大地を持ち、音楽的にも豊かな独自文化を持つ南米の大国、アルゼンチン共和国。Agustin Pereyra Lucena は古くから活躍するアルゼンチンのボサノバギタリストだが、アルゼンチンでボサノバというのはブラジルの隣国であるにもかかわらず、割と珍しい存在のようだ。彼の場合は、兄がブラジル旅行の際にお土産に買って帰った Joao Gilberto とギターの鬼神 Baden Powell のレコードがきっかけだったという。'60年代当時、アフリカ系ブラジル人としてのルーツを探求し、魂を削りながらサンバに新しい命を与えていった Baden に、Agustin が魅せられてしまったことを想像するのは難しくない。Baden 譲りとも言える一級品のギターテクニックや作曲能力は高く評価されて然るべきだが、なぜか知名度はいまひとつだった。ところが最近、クラブシーンでピックアップされたことから、往年の名作が次々のリイシューされている状況を喜びたい。
'73年発表の第三作目。彼のアイドルである Baden Powell をはじめ、Jobim や Toquinho、Edu Lobo のカバーと、いくつかのオリジナルが収録されている。いずれの極上のギターインストゥルメンタルである。曲によってはセカンドギターやピアノ、リズム隊、ストリングスを配したナンバーもあり、アルバム全体に穏やかな和みを与えているが、「Tomara」や「Espontaneo」のような前面に出たギターをゴリッと聴かせるナンバーもあり。とくに後者は Baden が憑依したような気迫が鳥肌もののアフロサンバ。
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