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    アコギスト宣言!!

    Oscar Aleman (オスカー アルマン)

    2004年11月23日

    アルゼンチン 1909-2-20 〜 1980-10-14 サンバ/ショーロ ジプシースウィング ジャズ/フュージョン スティール弦ギター フラットピッキング

    プロフィール

    スウィングギターの祖 Django Reinhardt は死後50年を経た現在でも名声が高まる一方だが、彼と同じ'30年代のパリで活躍したもう一人の名ギタリストを、ご存じないマヌーシュスウィング・ファンに紹介しておきたい。アルゼンチン生まれの Oscar Aleman である。
    Oscar Aleman は、Moreira Sextet という家族楽団を営む一家に生まれ、6歳のときにはボーカルやダンス担当として楽団に加わり、巡業の日々をおくっていた。長じるにつれてギターやカヴァキーニョを自然と弾くようになり、その演奏力が母の死とそれによって自暴自棄に陥った父親という危機的な状況下の家族を養う術となっていく。ローカルのバーで演奏していた15歳の Aleman は、Gaston Bueno Lobo というブラジル人ギタリストに見いだされ、彼とデュオを組むことになる。その後、スペイン巡業を経て女性ダンサーの伴奏者として10年ほどパリで活躍しており、その時に Django Reinhardt や Stephane Grappelli とセッションもしているそうだ。
    そんな訳で、Oscar Aleman のギターは勿論「偉大なる」Django の影響も受けているのだが、それ以前から多彩な弦楽器を弾きこなし、Oscar Moore (ジャズ) や Teddy Bunn (ブルース)、Ramon Montoya (フラメンコ)、Andrés Segovia (クラシック) という広いジャンルのギタリストに傾倒していて、そこから生み出された「芸風」は Django を遙かに超えて豊かである。反面、そんな大衆的なところがマヌーシュ原理主義者(?)の反発を買うのかもしれないけど。筆者の印象では Oscar Aleman の魅力は、Django よりもむしろ、やはり同時代に「弦楽器の魔術師」と呼ばれて活躍した Roy Smeck と通じるところがある。音楽ジャンルに拘泥せずにギターという楽器の楽しさを、Oscar Aleman を聴いて堪能してほしい。

    アルバムレビュー

    Swing Guitar Masterpieces 1937-1957

    '37〜'57年のリーダーセッションを集めた二枚組コンピレーション。収録は年代順に並べられ、ヨーロッパで活躍していた時期からアルゼンチン帰国後にまたがっており興味深い。曲によっては自身でボーカルをとっているものもあり、「Besame Mucho」などはコミックソング的な印象だが、これすらも彼の魅力のひとつ。マヌーシュ(風)スウィングはもちろん、ディキシージャズ調のものやブルース、ショーロやファドまで、ある意味節奏の無い雑多さは、ショウ・ビズの現場でニーズに応えながら鍛えられた芸人魂の証明だ。昨今では貴重になりつつある、こんなタフなミュージシャンシップを讃えたい気持ちでいっぱいになる。野太いスケールでのシンプルなリフがシビれる「I've Got Rythem」や Merle Travis も真っ青になりそうな超絶リックの無伴奏ソロ(!)「Nobody's Sweetheart」等、掛け値無しに素晴らしいギタープレイが満載。余談だが、このCDは Dawg のドン、David Grisman がプロデュースしており、彼は Aleman を故 Jerry Garcia (Grateful Dead のギタリストで Django をはじめスウィングギター愛好家でも知られている)に教えられたという。さらに余談を言えば、Aleman は初期のころナショナルのリゾネイトギターを愛用していたそうだが、このCDの頃は普通のピックギターだったのかなぁ。音がメタル臭くないのだが...

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