2006年8月20日
ブラジル サンバ/ショーロ ボサノバ ガットギター フィンガーピッキング
尽きることの無い泉のように破格のギタリストを輩出し続けるブラジル音楽シーン。Raphael Rabello や Guinga 級のニューカマーがこれからも登場することは予想はしていても、Rogerio Caetano のプレイを耳にするとやはり驚いてしまうのだ。ふっくらしたほっぺたに無数の音符が詰まっていて、それがこぼれ落ちてくるのか、実はターミネーターよろしく超速ギターマシーンじゃないのか、などと訳のわからんツッコミをしたくなる怒濤の7弦ギター。今のところキャリアその他は全く不明だけど、デビューアルバムのサイドミュージシャンを見るとこれまた凄い大御所揃いで、最前線の現場をくぐってきた雰囲気がある。予断を持たずに音の洪水を浴びるのも一興だろう。ここ数年で十指に入ること確実の、この7弦ショーロギタリストをまずは聴くべし!!
'06年、とりたてて格別なプロモーションもなしに店頭に並べられ、ギターファンの度肝を抜いたデビューアルバム。撥弦楽器を重視した豪華サイドメンを見ると、ギター系ショーロ好きを狙い撃ちしているかのようだ。例えばギターだけでも Marco Pereira に Mauricio Carrilho、Yamandu Costa だもんね(凄っ)。1曲目「Violao Na Gafieira」での緊張感あるギター・カヴァキーニョ・パーカッションの揃い踏みがカッコ良いことといったら... これだけでアルバムの値踏みが十分できてしまう。Yamandu を迎えてギターバトルか? と思ったら意外にストイックな「Valsa De Maezinha」は、低音に魅力を集中させた男っぽさがタマらん。ショーロの華、バンドリンにソロをとらせつつもストーカーみたいに張り付いて存在感が上回ってしまうギターってどうなのよ? の「Carioquinha Da Gema」と「Correr Com Medo」。そして何より「Pintando O Sete」「Milena」での即興的で凄まじい無伴奏ギターソロでは、もーあいた口が塞がらん。大型レコード屋でも Amazon でも扱ってないのが許せないこの衝撃の一枚、なにとぞ万難を排して聴いて下さい。