2008年12月7日
USA 1951 〜 ニューエイジ ガットギター スティール弦ギター フィンガーピッキング
アコギストには、'60年代にティーンエイジを過ごし、当時のロックに大きく人生を左右された世代も多い。Ry Cooder や David Bromberg、Dan Hicks などはその代表だろうが、彼らに関わりがあって、彼ら以上に「ギターマン」な人物の名を挙げろと言われたら、この人 Howard Emerson かもしれない。なにしろ30年以上プレイヤーであり続けながら、ギター講師やなんとビルダー(ギター製作家)としても活躍し、さらには C.F.マーティンギターの公式クリニックとして著名ミュージシャンのツアーに同行したりしているのだから。
'51年にボストンでピアニストの父のもとに生まれ、12歳でギターを弾き始めた Howard Emerson の最初のヒーローは The Ventures の Nokie Edwards だったという。そうするうちに Ry Cooder や Randy Newman、Lowell George らに影響を受けてアコースティックギターに、とりわけオープンチューニングやボトルネック奏法に開眼していく。ついにはフォークの大御所 Eric Andersen のツアーサポートを務め、Billy Joel のレコーディングにも参加するようになる。頻度こそ少ないものの、現在でもギターアルバムをリリースして年輪の入った味わい深いギターを聴かせてくれる。
'04年発表の、完全ギターソロ・アルバム。全ての楽曲が、'54年製の Martin OO-18 や、Gibson L-5、1910年製クラシックギター等のヨダレの出そうなヴィンテージギターで弾かれており、チューニングやカポ位置は勿論、録音機材まで明記されているという「ギターマン」ぶりだ。トップナンバーの、ミディアムテンポでポップなラグ「Lucky Lady B」に始まり、スローで優美かつシャドーウィな「If You Must Go」で幕を閉じるまで、実にリラックスしたホームメイドな爪弾きの数々には、凄腕ではあっても若手ギタリストがなかなか辿り着けない境地がある。中でも、ちょっとブギーな「Dew Rag」や「Dust Mop」、「Keep Walkin'」の粋なことといったら!! John Miller あたりが好きな、アコースティック・スウィングのファンなら、きっと気に入る筈。
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